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原点回帰

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職場環境の悪化により、かなり疲弊しています。乗り切るパワーを取り戻しに、伊勢原までドライブに行ってきました。医学部4〜6年生、研修医と、夢と希望だけを持って生活していた頃に住んでいた街です。街は所々変わっていましたが、街そのものが持つ雰囲気は当時と寸分違わず、病院と患者を中心に据えた生活を送っていた頃のことを思い出せました。



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医学生だった頃は目標がとても明確で、「何をすべきか」に悩むことは全くありませんでした。「医者になること」が全てで、医師国家試験に合格してスタートラインに立てなければ意味がないことを良く理解できていました。医学部内の試験や実習、医師国家試験でさえ単なる通過点であり、そんな通過点如きで躓くわけにはいかなかったのです。今思えば、とてもメリハリのある生活を送れていました。大学病院内にいる時は勉強のことだけ考えていましたし、一歩大学病院から出れば遊ぶことしか考えていませんでしたから。試験や実習はそれなりに辛いものでしたが、生活そのものには充実感を感じていました。医師国家試験をパスして初めて医者としての人生がスタートします。どんな成績で医学部を卒業したか、どんな点数で医師国家試験をパスしたか、そのようなことは問題ではありません。責任を負って臨床の現場に出ることが初めてである以上、完全に平等なゼロスタートなのです。研修医の頃考えていたことと言えば、「いかに早くスキルを身につけるか」「いかに多くの患者さんに触れるか」「いかに医者としての思考回路を構築するか」だけでした。必然的に受け持ち患者さんの数も増えますし、病棟にいる時間も長くなります。下宿のアパートに戻るのはシャワーを浴びて着替える時間だけでしたし、日曜日や休日は、外来駐車場に並ぶ車の列があるかないかで判断していました。生活保護スレスレの給料を補うために、時間を作っては当直し、まとまった貯金ができればROLEXやOMEGAを物色することに楽しみを見出す生活を送っていたのですが、同じようにスキルアップを図りたいパラメディカルや研修医達に囲まれていたので、「楽しく充実していた」思い出しかありません。後期研修医を終えた後、本格的に医局の看板を背負うわけですが、大学病院に巣食う権力者達の利害に左右されるドロドロした人間関係に嫌気がさして野に下りました。野に下って早10年弱が経過しようとしていますが、大学病院にあらずとも、己の利害を最優先する魑魅魍魎が権謀術数を駆使する世界であることに変わりはないことが良く分かりました。自分の職場では今までそれが顕著に現れることはなかったのですが、ここにきて一気に噴出しています。普通に患者さんに接して普通に医療をする、という当たり前のことができない状態になりつつあります。同僚の去就や職場の存続に振り回され、本来の仕事に影響が出るばかりか、当直回数などの個人的な負担も大きくなりモチベーションを失い始めていました。

久しぶりに見た伊勢原の街が、希望に溢れパワフルに行動していた頃の記憶を呼び戻し、仕事に対するモチベーションに繋がってくれると良いのですが・・・。
by minamitsubame | 2008-12-07 23:53 | diary