終焉
まだ僕の前に間違いなく存在すると思っていたのだが、
それは唐突に、僕の前から姿を消した。
もちろん、「僕の意思が優先されるはずだった」とは思っていない。
遊びではないのだから、仕方が無いことだ。
三叉路の一本が強制的に排除されたことで、
僕が進むべき道は、当面一本に絞られることになった。
もう一本、路があるにはあるが、
そちらは、今現在、僕が進むべき路ではないと思っている。
時が来れば、また僕の前に現れるはずであり、
再び僕に猛烈な悩みを提示することになるだろう。
僕は今、実に不思議な感覚に包まれている。
落胆と安堵、そのどちらもが存在している。
失ってしまったことに対して、心底落胆している僕と、
とりあえず迷う必要がなくなったことに、
そして別れる必要がなくなったことに、安堵している僕がいる。
今後、おそらく二度と体験できないであろうことを考えると、
「残念ではない」と言えば、それはまるきり嘘になる。
しかし、それを体験するには相当な覚悟が必要であり、
覚悟を決めるにはあまりに時間が無さ過ぎたのも事実。
「しまった」と思う反面、後悔は、ない。
自分が進むべき路が明らかとなり、むしろ気分は晴れている。
空に行くか水で行くかは、再び分岐点に差し掛かった時に考えればいい。
今は水で行くべき時であり、僕にとっての水は今の「GT3」しかない。