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空冷と水冷 2種類の911

注)先ず始めに
空冷911も水冷911も「ポルシェ911」であり、どちらも優れた車であることに疑いの余地はない。どちらの911を選択するかは完全に個々人の感性・好み・ニーズの問題であり、「正しい」とか「間違い」などと議論されるべき問題ではない。この点については十分承知しており、決して「空冷vs水冷」という無意味なテーマに対する私見を述べることで、「従って○冷が優れている」などという愚かな結論を導びかんとするものではないことを始めに断っておく。


「ポルシェを買おう」と決意するまでの経緯は、オーナーが100人いれば100通り存在するものと思う。ごく単純な理由で新車購入にいたる者もいれば、思い入れの深いモデルを苦労して探し出して購入にいたる者もいるだろう。自分の場合は「サーキットを走る」という、どちらかといえば単純な理由でポルシェの世界に足を踏み入れることになった。930ターボに憧れるというありがちな幼少時代を過ごし、「最近のポルシェ社は随分普通っぽい車を作るようになった」という印象を抱きながらも、「サーキットを走る」にあたって最もコストパフォーマンスの良さそうなポルシェ911を選ぶことになった。もちろん選択条件はコストパフォーマンスだけではない。操る楽しさを含めた「速さ」、パーツの入手しやすさなども考慮した。そして964、993、996、997の中から996GT3を選んだのである。

911を買おうと決意してから、「THE 911&PORSCHE MAGAZINE」や「911DAYS」を筆頭にポルシェに関する本や雑誌を読み漁った。その際、993と996の間、ちょうど空冷から水冷にエンジン冷却系が変更されたところで、「911」という車そのものが持つ雰囲気がガラリと変わっていることに気付いてはいた。993までの911、つまり空冷911は、「質実剛健」というイメージが強い。まず初めに「走り」ありき。走行性能を最優先し、それに必要最低限の居住性を確保した、という感じで、「硬派」という言葉がピッタリ合いそうだ。対して996以降の911、つまり水冷911は、「GTカー」というイメージが強い。衝突安全性や排出ガス制限の影響を受け、さらにポルシェ社の販売戦略変更の煽りを受け、「走り」のイメージよりも「洒落た外車」のイメージが先行しているように思う。もちろん走行性能は折り紙付きなのだが、ポルシェに似合わぬ洗練されすぎた内外装からは、993以前の911が身に纏っていた周囲を圧倒するオーラが失われている。

自分が911を買った時には、もちろん空冷911も選択肢に入っていた。自分にとって「911」といえば「964」であったからだ。「930」や空冷最終モデル「993」よりも「964」を選ぶのには理由がある。それは「自分が車の購入を夢見る状況になった時、新車として販売されていた911が964だった」ことだ。自分は初心者時代に「964」を「ポルシェ911」として認識している。当時は空冷だのRRだのには全く興味が無く、「ポルシェ911」はフェラーリと並ぶ高級外車として憧れの対象だった。すでに20代前半であったにも関わらず、「ポルシェ911=964」と深層意識に刷り込まれてしまっていたのである。そんな状態であったから、911購入時に選択肢に入っていたのは964RSだった。

マリタイムブルーのボディカラーにRS3.8ウイングを付けて乗りたかった。しかし、数少ない限定車であり程度の良い車両に出会える可能性が低く、サーキット走行に伴うメンテナンス費用、10年経過に伴うコストなどを考慮した結果、選択肢から外したのである。今回は諦めたが、単純にドライブを楽しむためのポルシェとして将来的には何とか手に入れたい911である(本来の使い方ではないような気がするが・・・)。

HAL1223

今になって改めて読み返してみると非常に恥ずかしいのだが、ほぼ原文のままご紹介する。

996GT3=水冷911に乗るようになって不思議に思うのは、「空冷911乗りの方々には水冷911を嫌う方が多い」、ということである。「最新の911こそ最高の911」という言葉を単純に信じ、ダルになったと言われる外観にも好感を覚え、その走行性能にも満足感を感じ、現実に愛してやまない水冷911が、実は自分よりも長く空冷911を愛してきた諸先輩の方々に受け入れられていないというのは悲しいことだ。
初めに断っておくが、自分は空冷911を否定するつもりは毛頭ない。自分が最も愛するポルシェは964RSであり、964RSはまぎれもない空冷911だ。絶対的な性能を超えた、空冷911にしかない「味」というものが存在することも理解できる。
しかし、996も基本設計はRRのまま変更はない。GT3はおろかGT2までもがRRである。4WD化されたモデルもあるが、ハイエンドモデルはRRが堅持されている。996がそれまでの空冷911と違うのは、ボディが大きくなったことと外観のアイデンティティが少し変わったこと、水冷になったことだけだ。RRレイアウトをここまで昇華させてきたエンジニアリングの血の結晶は、間違いなく996にも継承されていると思う。
ボディが大きくなりホイールベースが80mm伸びたことで、危ういまでの旋回性能(これをもって空冷911乗りの方々は「鋭さ」と表現するのだろうか)は失われたかもしれないが、その代わりにさらに強靭なボディ剛性、空力的な安定、そしてずっと向上した衝突安全性を得ることになった。外観は好みの問題と思うが、大柄になったことでメリハリが感じられないと思う(しかし自分は嫌いではない)。水冷になったことで高出力をリスクを背負うことなく得ることができるようになったはずだ。
環境性能や衝突安全性などを優先する現代において、それらを全て満たしながらも993に負けず劣らずな走行性能を発揮する996は、立派な911なのではないのだろうか。
ポルシェ社は996を登場させることで空冷時代の911乗りを切り離すことを意図したのだろうか。走行性能にとって負に働く時代の要求に応えながらも、また企業として利益をあげることを優先的に考えなければならない状況の中で、それでもRRを堅持し性能を維持しようと試行錯誤を重ねたポルシェ社のエンジニア達の願いは、新たな水冷911が新たなポルシェユーザーだけでなく、今まで空冷911を支えてきたユーザーにも受け入れられることであると思うのだ。
自分には水冷911を毛嫌いする方々の真意が理解できない。自分が空冷911を所有し、生活を共にしたことがないからかもしれないが、911としての本質は何も変わっていないと思うからだ。空冷911に乗る「真の」911乗りと呼ばれる方々にしか見えない911の世界がある、というなら話は別であるが・・・。

・・・子供。その一言に尽きる。我ながら情けない、というか穴があったら入りたい気分である。



こんにちは。

コメントこそしておりませんが、記事は全て興味深く拝見しました。911の歴史やポルシェ社の経営戦略の変化などは存じておりましたが、自分は絶対的な速さ(これには操る楽しみも含まれます)とコストパフォーマンス、純正パーツの入手のしやすさを基準に996GT3を選びました。サーキットを楽しむのに必要なのは企業の歴史や哲学ではなく機械としての性能であり、自分の経済力を考えるとより新しい機械が望ましい、という考えに基づいてのことです。964RS(ポルシェ社の「走り」に対する考え方が最も顕著に反映された車で大好きです。993GT2も同じ意味で好きです)を諦める為に必死に自分に言い聞かせた「考え」ではあるのですが、あながち間違いではなかろうと思っております。

996GT3が自分にとって初めてのポルシェなのですが、それまで乗っていた初代NSX-Rと比べてみて「やっぱりポルシェはすごい」と痛感しました。快適装備が付いて商売気が気にはなりますが、「走り」に対する妥協が全くないと思ったのです。国産スポーツカーが絶対に採用しないドライサンプ、調整幅の広い純正足回り、剛性たっぷりのブレーキ、そのようなハードウェアに感動したのです。そしてミッドシップに近い挙動を示しながらも強烈なトラクションを発揮するRRレイアウト。「以前」を知らないポルシェ初心者としては996GT3には一切不満がありませんでした。

ですから、機械として絶対に優れているはずの水冷を空冷にこだわる方が認めたがらない真意が理解できませんでした。996に乗っている自分に面と向かって「だから空冷なんだよ」とお話してくださる方もいませんでしたので、謎は深まるばかりでした。乾いたエンジン音、独特の排気音、走るのにはベストと評される小ぶりなボディサイズ、悪癖とまで評されるRRの特異な挙動、特にレーシングモデルに強い車自体が持つ「走り」の雰囲気、そういったものへのこだわりなのだろうと考えていました。996GT3はかなり乗りやすく速いですが、特に空冷ポルシェのレーシングモデルだけが持つ独特のオーラが感じられないですから。

今回の記事を拝見させて頂いて空冷にこだわる方の真意の一端が見えたように思います。文章として現れていない想いもおありでしょうから、実際にお話を伺えればもっとはっきり分かるのだろうと思います。

自分はこれからも996GT3と一緒に走っていきたいと思っています。今後空冷911に乗ることもあるでしょうし、いずれ誕生する新型911に乗ることもあるかもしれません。でも、個人的にサーキットを走るのは996GT3とだけでしょう。理由は自分でも全く分かりませんが、それほどまでに996GT3が好きになってしまったのです(人間の心ほど移ろいやすく変化の激しいものはないのかもしれませんが)。「最も好き」な車で走るのがベストであることにはご賛同頂けると思います。

読みにくく訳の分からない長文で申し訳ございません。御容赦ください。
もてぎ・富士にお越しの際は御一報くだされば、と思います。ぜひご一緒させて頂きたいと思います。今後とも宜しくお願い致します。
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by minamitsubame | 2006-07-01 21:24 | Porsche